第18回審査結果と活動

第18回入賞作品発表

(1)優秀賞5点と俵万智さんの審査評

《滋賀県知事賞》

初めて始発に乗った。朝ってこんなに光るんだ。

会田 あやか(22歳 滋賀県)

俵万智さんの
作品評

駅や電車は、時間帯によって表情が変わりますが、始発はまた格別です。その驚きが、瑞々しく表現されました。「光が眩しい」くらいでは足りないのでしょう。朝を主語にしてしまったところに迫力があります。

《大津市長賞》

もう君に逢えないと知る乗換駅 後ろ三両切り離します

山本 貴幸(36歳 大阪府)

俵万智さんの
作品評

秘めた思いだったのでしょうか。一つの恋の終わりが、駅と電車に重ね合わせてリアルに伝わってきます。今が人生の乗換駅、思い出を切り離して進んでいこうというふうにも読めて、切ないですね。

《青春賞》(叶 匠寿庵)

さくらんぼみたい分け合ったイヤホンは通学路

小沼 智佳(21歳 京都府)

俵万智さんの
作品評

一つのイヤホンを分け合って、同じ曲を聴く通学路は、まさに青春だなあと思いました。Y字に分かれるイヤホンを「さくらんぼ」とした比喩が素晴らしいですね。見た目だけでなく、甘酸っぱいところも同じです。

《さわやか賞》(大津商工会議所女性会)

今、S字カーブが始まる 君の横顔が見え隠れ

上田 幸男(76歳 滋賀県)

俵万智さんの
作品評

横顔を、ずっと見ているからこその発見ですね。七十代とは思えぬときめきに感服しました。「始まる」という現在形、「見え隠れ」という言いさしの表現。これらが、まさにカーブで揺れている感じを伝えてくれます。

《ユーモア賞》(トヨタモビリティ滋賀)

このときめきはキノセイじゃなく、スキノセイ

村井 愛理(17歳 石川県)

俵万智さんの
作品評

「気のせいじゃない」なら誰でも言えそうですが「好きのせい」と掛けた言葉遊びに唸りました。気の精、好きの精、という妖精がいるような気がしてくるのは、カタカナで音だけを伝えたからでしょう。技ありです。

(2)特別賞と俵さんの総評

《近江勧学館賞》

金曜日も「また明日」が言える距離になりたい

仲川 暁実(27歳 愛知県)

《京阪電鉄賞》

伝えなきゃ。背を押す「ドアが閉まります」

伊藤 夏子(16歳 千葉県)

《近江鉄道賞》

同窓会に向かう電車に初恋が乗ってきた春。

ガブリータ(48歳 東京都)

《信楽高原鐵道賞》

行き先の消えかかった定期券に別れを告げる卒業式

熊田 悠人(14歳 京都府)

《西日本旅客鉄道賞》

150円の入場券で、君と過ごす数分を買う

まるん(24歳 長野県)

《比叡山鉄道賞》

みんなが画面を見ている中、車窓を眺める君が好き

竹内 喜一(47歳 大阪府)

《団体賞》

滋賀県立瀬田工業高等学校(滋賀県)
金城学院高等学校(愛知県)

俵万智さんの総評

全国から、そしてさまざまな年代のかたから、ご応募がありました。この賞の広がりとともに、電車や駅にまつわる思い出やドラマが、多くの人々の心にあることをあらためて感じる選考でした。

関係団体・企業

滋賀県(滋賀県知事賞)大津市(大津市長賞)株式会社叶 匠壽庵(青春賞)
大津商工会議所女性会(さわやか賞)トヨタモビリティ滋賀株式会社(ユーモア賞)
一般財団法人天智聖徳文教財団(近江勧学館賞)京阪電気鉄道株式会社(京阪電鉄賞)
近江鉄道株式会社(近江鉄道賞) 信楽高原鐵道株式会社(信楽高原鐵道賞)
西日本旅客鉄道株式会社(西日本旅客鉄道賞)比叡山鉄道株式会社(比叡山鉄道賞)
京都信用金庫(団体賞) 大津市社会福祉協議会、びわこデザイン文化協会、他

(3)作品発表と表彰

※作品発表と表彰 については決まり次第お知らせします。