(1)優秀賞5点と俵万智さんの審査評
《滋賀県知事賞》
子ども切符を買った子の手に十円の跡
中西 太(67歳 滋賀県)
作品評
硬貨の跡がつくほど、ぎゅっと握りしめていたんですね。もしかしたら初めて切符を買ったのかもしれません。その緊張感や嬉しさを「十円の跡」が伝えてくれます。細やかな観察眼が素晴らしい作品です。
《大津市長賞》
さり気なく譲る少年。お腹の子もそう育てたい。
つべる(31歳 神奈川県)
作品評
「恩送り」という言葉を思い出しました。恩を直接返すのではなく、自分がされて嬉しかったことを次の誰かにして、恩を送るという考え方です。少年の思いやりが未来につながっていくようで心が温まります。
《青春賞》(叶 匠寿庵)
友達とのたわいもない話と残り1ヶ月の定期券
葉山 あも(29歳 東京都)
作品評
三月までの定期券でしょうか。おそらくは、それ以降は、それぞれの道を歩き出すのでしょう。なんでもない会話も、タイムリミットを意識すると特別なものになります。青春ならではの時間感覚にぐっときました。
《さわやか賞》(大津商工会議所女性会)
無口な君が席をゆずる。私の心の席に君が座る。
堂坂 歩由(12歳 滋賀県)
作品評
一文めは実際の席で、二文めは比喩的な席。対句的な表現が鮮やかで、切れ味のよい言葉のセンスに感心しました。君に心を奪われた様子を「座られた」としたところに、恋の不可抗力性がみごとに表現されています。
《ユーモア賞》(トヨタモビリティ滋賀)
おつかまりください 混んでいるから僕の腕に
まりあ(21歳 東京都)
作品評
混んでいるから吊革に……ではないところが、くすっと笑えます。たぶん混んでいなくても、つかまってほしいんですよね。出だしの車内放送のような口調も効いています。
(2)特別賞と俵さんの総評
《近江勧学館賞》
傾けど勇気届かずやじろべえ 肩に頭を載せたい日々よ
牛尾 玲 (23歳 京都府)
《京阪電鉄賞》
雨の日は朝からそわそわ。君が電車を使うから
Suzu(18歳 東京都)
《近江鉄道賞》
等間隔に空いたロングシート。法則乱した君と僕
ハイビッグ(32歳 京都府)
《信楽高原鐵道賞》
家以外にも「お帰り」を感じる駅がある幸せ。
村田千賀子(53歳 東京都)
《西日本旅客鉄道賞》
押し入れの古いスケッチブック。今は無い故郷の駅舎
住吉美和子(60歳 大阪府)
《比叡山鉄道賞》
上りの君と下りの私 向かい合うのにすれ違う
川村来莉(17歳 静岡県)
《団体賞》
大津市立打出中学校(滋賀県)
大津市立堅田中学校(滋賀県)
俵万智さんの総評
駅舎や電車が、人生の大切な場面の舞台であることを、あらためて感じました。日常的なものでありつつ、特別な空間でもあるんですね。それがみなさんの作品を通して伝わってきました。
関係団体・企業
滋賀県(滋賀県知事賞)大津市(大津市長賞)株式会社叶 匠壽庵(青春賞)
大津商工会議所女性会(さわやか賞)トヨタモビリティ滋賀(ユーモア賞)
一般財団法人天智聖徳文教財団(近江勧学館賞)京阪電気鉄道株式会社(京阪電鉄賞)
近江鉄道株式会社(近江鉄道賞) 信楽高原鐵道株式会社(信楽高原鐵道賞)
西日本旅客鉄道株式会社(西日本旅客鉄道賞)比叡山鉄道株式会社(比叡山鉄道賞)
京都信用金庫(団体賞) 大津市社会福祉協議会、びわこデザイン文化協会、他
(3)作品発表と表彰
- 作品発表・展示
- プロジェクトのHP(https://densyatoseisyun21.com/)
- 京阪電車石山坂本線の車両:2月中旬~3月(予定)
- 中吊り1編成、車両ドア横広告スペース全車両
- 京阪石山坂本線の主要10駅:2月中旬~3月(予定)
- 近江鉄道の車両中吊り1編成:2月中旬~3月(予定)
- 信楽高原鐵道:車内壁面
- JR西日本 県内各駅掲示板にポスターで発表:2月中旬~3月(予定)
- 比叡山鉄道の駅舎:2月中旬~3月(予定)
- 大津市ナカマチ商店街「胸キュン商店街」として店頭に作品掲出 2月下旬~3月(予定)
- 作品集の発行:2月下旬(予定)
- 表彰式(オンライン)
- 2月24日(土) 受賞者および関係者にて開催予定