第17回青春21文字のメッセージには、全国各地に加えカナダ、アメリカ、台湾からも含め5,022作品の応募をいただきました。ここ数年、世界を覆ったコロナ禍による閉塞感から解き放たれ、新たな出発への弾けるような思いを詠み込んだ作品が多く見られました。
1次審査で500作品に絞り込み、地元有識者等による2次審査で入選100作品を選出。その中から俵万智さんが優秀賞5作品と入賞16作品を選びました。また、入賞作品の中から主催者が特別賞6作品を選びました。
青春賞 (叶 匠寿庵)
友達とのたわいもない話と残り1ヶ月の定期券
葉山あも 29歳 東京都
(俵万智さん講評)三月までの定期券でしょうか。おそらくは、それ以降は、それぞれの道を歩き出すのでしょう。なんでもない会話も、タイムリミットを意識すると特別なものになります。青春ならではの時間感覚にぐっときました。
さわやか賞 (大津商工会議所女性会)
無口な君が席をゆずる。私の心の席に君が座る。
堂坂 歩由 12歳 滋賀県
(俵万智さん講評)文めは実際の席で、二文めは比喩的な席。対句的な表現が鮮やかで、切れ味のよい言葉のセンスに感心しました。君に心を奪われた様子を「座られた」としたところに、恋の不可抗力性がみごとに表現されています。
ユーモア賞 (トヨタモビリティ滋賀)
おつかまりください 混んでいるから僕の腕に
まりあ 21歳 東京都
(俵万智さん講評)混んでいるから吊革に……ではないところが、くすっと笑えます。たぶん混んでいなくても、つかまってほしいんですよね。出だしの車内放送のような口調も効いています。
(俵万智さん全体評) 駅舎や電車が、人生の大切な場面の舞台であることを、あらためて感じました。日常的なものでありつつ、特別な空間でもあるんですね。それがみなさんの作品を通して伝わってきました。