(1)優秀賞5点と俵万智さんの審査評
《滋賀県知事賞》
イヤホン壊れて車窓からセミの声、夏を知る
梅村 たお(東京都 14歳)
作品評
イヤホンからの音がしなくなった時に聞こえてきたセミの声。デジタルからアナログへの切り替えと対比が鮮やかです。「夏を知る」という簡潔な着地が印象的で、みごとに決まっていると思いました。
《大津市長賞》
ホームの先に見える空 離れる今日が一番青い
一乗寺 遥(大分県 53歳)
作品評
ホームの「先」としたところに、未来への視線を感じます。と同時に、過去を振り返っての空への愛惜の気持ちが伝わってきます。だからこそ一番の青さなのでしょう。「見守ってくれてありがとう」「いってらっしゃい」。そんな、作者と青空との心の会話が聞こえるようです。
《青春賞》
初恋。駅のホームにステイしたまま友だちのまま
だいちゃんZ!(大阪府 45歳)
作品評
駅のホームにステイしたまま、進むこともなく放置され続ける初恋。でも、だからこそ友だちでいられるのかもしれません。ステイホームをもじったところがアイデアです。
《さわやか賞》
晴れの日窓から自転車の君 雨の日電車に君がいる
あい(広島県 19歳)
作品評
普段は自転車通学で、雨の日だけは電車を利用する君。よくあるスタイルですが、晴れれば晴れたで自転車を目で追い、雨なら雨で車内でそわそわという、意地らしい恋心が伝わってきます。
《ユーモア賞》
「各駅停車が好きなんだ」君限定で嘘じゃない
青木 ひなた(大阪府 18歳)
作品評
後半、カギかっこの外の部分は、きっと心の中の声なのでしょう。君と一緒だったら、むしろゆっくりたっぷり電車に乗っていたい。「君限定」という表現がいいですね。気が利いていて、クスっとさせられます。
(2)特別賞と俵さんの総評
特別賞5作品と学校賞、俵さんの総評は次の通り。団体賞は、滋賀短期大学附属高等学校、大津市立唐崎中学校が選ばれました。
《近江勧学館賞》
向かいホームにキミ発見 近くて遠いディスタンス
佐口 雄亮(大阪府 16歳))
《京阪電鉄賞》
一人で乗ったら十五分。君と乗ったら三分でした。
南部 陽菜(滋賀県 15歳)
《近江鉄道賞》
「横すわっていい?」そんなのいいに決まってる
島田 柑菜(滋賀県 12歳)
《信楽高原鐡道賞》
冬服の君に恋をした。夏服の君に嫉妬した。
ボブ(宮城県 23歳)
《西日本旅客鉄道賞》
イコカより切符派なのは君との思い出残すため
渡邉 花(滋賀県 12歳)
《団体賞》
滋賀短期大学附属高等学校(滋賀県)
大津市立唐崎中学校(滋賀県)
俵万智さんの総評
今年も全国から、瑞々しい青春のメッセージが届きました。駅や電車というのは、出会いと別れの舞台であることを、あらためて感じます。動きのある場所だからこそ、どの場面を言葉で切り取るかがポイントですね。それぞれの作品が描く風景や時間や人間ドラマ。それらを味わうことによって、自分にもあったかもしれない青春を疑似体験するような、豊かな気持ちになりました。
関係団体・企業
滋賀県(滋賀県知事賞)大津市(大津市長賞)滋賀トヨペット株式会社(ユーモア賞)
株式会社叶 匠壽庵(青春賞)大津商工会議所女性会(さわやか賞) 京阪電気鉄道株式会社(京阪電鉄賞)
近江鉄道株式会社(近江鉄道賞) 信楽高原鐵道(信楽高原鐵道賞)
西日本旅客鉄道株式会社(西日本旅客鉄道賞) 一般財団法人天智聖徳文教財団(近江勧学館賞)
京都信用金庫(団体賞) 大津市社会福祉協議会、びわこデザイン文化協会、大津商工会議所、
株式会社まちづくり大津、唐橋焼窯元、社会福祉法人いしづみ会 他
(3)作品発表と表彰
- 表彰式
- 日程=2021年1月16日(土)午前11時
- 場所=ナカマチ商店街特設会場(大津市長等2丁目)
- 出席者=優秀賞、特別賞受賞者、団体賞受賞校の代表
- 作品発表・展示
- プロジェクトのHP(https://densyatoseisyun21.com/)
- ナカマチ商店街: 2021年1月16日(土)~2.月末
※予定 以下2月初旬から適時 - 京阪電車石山坂本線の車両: 車両ドア横広告スペース(全車両)、中吊り広告スペース(1編成)
- 京阪石山坂本線の各駅(21駅の顔づくりグループ掲示板)
- JR西日本(大津駅、膳所駅、石山駅、瀬田駅)
- JR大津駅観光案内所
- 明日都浜大津
- 叶 匠寿庵 寿長生の郷
- ◎作品集の出版
- 2月末 定価:1000円+(税)